今日読み終えた本

黙の部屋

黙の部屋

何をかくそう私は折原一の大ファンだ。
10年ほど前、たまたま買った『天井裏の散歩者』という文庫を読んでから、その独特の作風「叙述ミステリー」にハマってしまい、以来病みつきになり、短編集も含めて最新の本書まで40作品全部読んでいる。
そのなかでも私が特に好きなのは『倒錯のロンド』、『異人たちの館』で、共に10年以上前の作品だ。
ここ数年は1年に1作ずつしか長編を発表しない上に往年の「叙述トリック」の冴えがあまりみられないので少しさびしい気がしていた。
そこで本書だが、実在の画家をモチーフにした「美術ミステリー」で、著者所蔵の絵画が口絵を飾り、近年にない比較的深みのある作品になっていてけっこう楽しめた。