今日読み終えた本
- 作者: 真保裕一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/09/14
- メディア: 単行本
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初めて読んだ作品は『ホワイトアウト』。’96年版「このミステリーがすごい!」国内編第1位、「第17回吉川英治文学新人賞」受賞作ということで図書館で借りて読み、綿密な取材に基づいたリアルで迫力ある描写と構成力、なんといってもスピード感あふれる冒険活劇的なストーリー展開と、テロリストたちの使ったトリックの秀逸さに魅了された。
彼はこの作品でブレイクし、織田裕二主演で映画化もされた。
彼は’91年、『連鎖』で「第37回江戸川乱歩賞」を受賞してデビュー。今までに短編集、エッセイ集を含めて22作品を上梓している。私はそのうち本書を含めて20作品を読んでいる。
いままでにもこの日記で好きな作家の方々を記してきたが、真保氏の作品は折原一や伊坂幸太郎、芦辺拓各氏のような現実からある種浮遊した虚構の世界の面白さとは異種の、じっくり書き込んだ緻密な、現実的な、いわば迫真のリアリズムの面白さがある。それだけに読む側もじっくりと腰をすえて読むことができる。
彼の作品では上述の『ホワイトアウト』と『ボーダーライン』が私は好きだ。
さて本書だが題材こそインドネシアの「吸血鬼」だの「超能力で病気・怪我を癒す少女」だのを持ってきているが、主人公たちの「奇跡の少女」の追跡劇はサスペンスフルで謎に満ち、なるほど「真保裕一の世界」が充分に描かれていた。