今日読み終えた本

触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)

触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)

2冊とも東敬大学助教授、年齢不詳・美貌で「異端の民俗学者」蓮丈那智とその助手内藤三國のコンビが活躍する「民俗学ミステリー」短編集。1冊目(フィールドファイルⅠ)所収の表題作『凶笑面(きょうしょうめん)』は先日(9月23日)TVで2時間ドラマ化された。
いずれの作品も、二人が調査依頼の手紙などをきっかけに、日本各地の民間伝承の類に関心を持って、現地に実地検分(フィールドワーク)に赴き、そこで犯罪事件(その多くは殺人事件)に巻き込まれる。蓮丈那智は専門の民俗学の見地から民間伝承の謎を解き、それに関係する犯罪事件を快刀乱麻を断つがごとく解決してゆく。
民俗学の理屈っぽい薀蓄の部分はあるにしても1作あたり50ページ程度の短編なので、テンポよくストーリーが展開し、どんどん読み進むことができる。いずれも短編ながら、読者は民間伝承と犯罪事件の二つの謎解きの楽しみが同時に味わえる趣向になっている。
私は2冊10作品のうちで一冊目(フィールドファイルⅠ)所収の『邪宗仏(じゃしゅうぶつ)』が「聖徳太子イエス・キリストだった。」という荒唐無稽な論理展開で進む物語となっていて一番面白かった。