今日読み終えた本

憤怒 (新潮文庫)

憤怒 (新潮文庫)

G・M・フォードの、孤高の新聞記者フランク・コーソを主人公とした第1作。
’03年、「このミステリーがすごい!」海外編第14位にランクインしている。
太平洋北岸の都市シアトルを震撼させた連続レイプ殺人事件。3年半前に起きたこの事件の犯人、誰もが認める極悪人ハイムズの死刑は6日後に迫っていた。
ところが彼の有罪の決め手となった証言をした唯一の生存している被害者が、あれは偽証だったと告白する。
ニューヨークをある事情で追われ、シアトルの歴史は古いが経営が苦しい小さな新聞社の女性社主に拾われたコーソは、彼女に対する‘借り’を返すべく、真犯人探しに
乗り出す。ハイムズの死刑執行まで残された日にちは6日しかない。
コーソは女性カメラマンのドアティを助手に、事件をもう一度洗いなおすのだったが・・・。
本書は、典型的なタイムリミット・サスペンスだが、それだけでは終わらない。いったん解決したかに見えてからまだ100ページ近く残っていて、もうひとひねりあるところが憎い。
また、コーソやドアティはもとより、脇役に至るまで、多彩な登場人物たちの人物造形の妙も本書の読みどころだ。それらが見事なプロットとストーリーテリングと相まって
最後の最後までテンポよく楽しませてくれる。
本書は、G・M・フォードのまさに職人技によって編み出されたエンターテインメント
である。