今日読み終えた本

報いの街よ、暁に眠れ (ヴィレッジブックス)

報いの街よ、暁に眠れ (ヴィレッジブックス)

マイケル・ハーヴェイのデビュー作となる、シカゴの私立探偵マイケル・ケリーを主人公にしたハードボイルドである。
マイケルは警官時代のパートナー、ギボンズから9年前のレイプ事件の再調査に手を貸すように頼まれる。彼はしぶしぶ引き受けるのだが、翌朝未明、当のギボンズ
射殺死体が発見されにいたって、謎の多いこの事件に巻き込まれてゆくのだった。
やがて事件の闇は、9年前の事件にかかわった者達が不審な死を遂げていることがわかり、さらに最近頻発するレイプ事件や、現在死刑囚監房に服役中の連続殺人犯が起こした事件にまで波及してゆくことになる。
真相への糸がほつれそうになるたびに、何者かによって鍵を握る人物たちが殺されてしまう。
マイケルは、血で血を洗う一連の事件と、それが包含する謎を、皮肉な減らず口と
教養がない交ぜになった語り口で、緻密に解き明かしてゆく。
本書は、ハードボイルドならではの荒っぽさも保ちつつ、タフにして繊細、ギリシャ哲学に心を寄せる陰影に富んだ好漢マイケルの、一人称で、かつ短い章立てでハードに
読ませる、正義をめぐる物語である。
シカゴにまた、あらたなヒーローが誕生した。