今日読み終えた本

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

’98年版「このミステリーがすごい!」国内編第9位にランクインした、恩田陸の作品のなかでもミステリー色の濃い作品。
幻の本をめぐる4つの中編からなるオムニバス形式の連作集。
4章のうち私は第2章、第3章が良かった。特に第3章は著者の得意分野(?)である高校生たちが登場し、巧緻な心理戦を展開していて、「実は・・・だった。」という謎もいくつか用意されていて面白かった。
反面第1章は英国ミステリー風に凝りすぎていて、また第4章はあまりにも私小説色が強すぎていまひとつだった。
それでも全体として、ミステリー好きの私にとってはなんとも静謐で不思議な味わいのある作品として充分楽しめた。