今日読み終えた本
- 作者: 笹本稜平
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
本書は現在の著者の作風を予感させる国際謀略小説である。
“ビッグブラザー”はコンピューターネットワークを使って世界の人口を1億人に減らして、「平和で、安定した」独裁世界を創ろうというとんでもない組織である。物語は、ある暗号ソフト<クロノス>の開発をめぐって、日本の公安警察、アメリカの政府機関やロシアのスパイもからんでくる壮大なものであるが、いかんせん立ち向かうのが会社を解雇された一介のプログラマーという設定のため、彼を巡るホームドラマめいた場面も散見され、謀略そのものの恐ろしさが絵空事のように浮いてしまい、いまひとつ緊迫感というか、リアリティに欠けた感じがした。
しかし以降の作品ではその点も解消され、今や彼は「国際謀略・冒険小説」の代表的作家である。
全く余談だが、8月は読書が進み、図書館や新古書店もかなり利用したものの、書店で購入するケースも多く、経済的にも少し負担がかかった。“Amazonギフト券欲しい!”と、声を大にして言いたいところだ。