今日読み終えた本

太平洋の薔薇〈上〉

太平洋の薔薇〈上〉

太平洋の薔薇〈下〉

太平洋の薔薇〈下〉

国際謀略小説の分野では第一人者笹本稜平の’04年「第6回大薮春彦賞」を受賞した、1200枚に及ぶ超大作。
あらゆる脅威に敢然と立ち向かう海の男たちの矜持を高らかに謳い上げている。
老朽貨物船「パシフィックローズ」のベテラン船長柚木の、テロリストにハイジャックされながらも、嵐の荒海を操船する誇りに満ちた行動を中心に、脅威の生物兵器<ナターシャB>、アメリカ、ロシアの大国の思惑、ひそかに活動する両国の諜報機関部員、暗躍するロシアンマフィア、亡命したアルメニア人の科学者、豪華客船の船医、謎の殺し屋、海賊情報センター職員で船長柚木の安否に一喜一憂する娘の夏海、「パシフィックローズ」を救わんと苦闘する海上保安庁の男たち。大掛かりな「謀略のスケール」と拮抗しうるさまざまな登場人物たちのそれぞれの「個人」をしっかりと描いている点は見事で、国際謀略小説と海洋冒険小説を融合することにも成功している。
とくにラストの2章は感動もので、私は読みながら久々に涙してしまった。


ちなみに本書が私の今年読んだ120作目の本となった。