今日読み終えた本

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

長いこと売り上げ首位を独走していた『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を抜いて、新書部門の売り上げ第1位となり、書店に山積されていたことと、タイトルを見て自分も「下流」に当てはまるのではないかと思い、興味津津で読んでみた。
著者の言葉によれば
『「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ。』(「はじめに」より)
下流社会」とは具体的にどんな社会で、人々の価値観、生活、消費は今どう変わりつつあるのか。そして自分も「下流」の一員なのか。このままではどうにかなってしまうのだろうか。というような「下流社会論」を期待したが、
本書はマーケティング・アナリストである著者が豊富なアンケートデータを元に現状を過去と比べて分析したものが中心で、そこでは「下流」のみにスポットを当てているというわけでもなく、「上」や「中」も均等に分析されていた。文中にもやたらアンケート結果のグラフや表が多く、しかも対象は主に「団塊の世代」や「団塊ジュニア世代」に限られていた。私は微妙にどちらの世代にも属さないので、結局自分はどうかということは分からなかった。
ある特定の世代の実情をアンケート結果から解析して提示するだけでなく、もう少し幅広く突っ込んだ、社会全体の現在の構図にメスを入れた問題提起をして欲しかった。
「タイトル」のつけ方が上手なのでよく売れているのだろう。