今日読み終えた本

2年前に著者が“すがのたいぞう”名義で書いた『こころがものすごくラクになる考え方』を読んだことがある。その時は著者自身「書き終えた後、どっと疲れた」と言っていたように、私も読後の感想はタイトルとは裏腹で「何でもかんでも励まされている」ように感じて、かえってつらかった覚えがある。こころがものすごくラクになる考え方
さて本書はタイトルからして、読み手としては「うつ病」「うつ状態」真っ只中の人が対象ではない。
著者は心理カウンセラーの立場から、もっぱらビジネスマン・ビジネスウーマンの「うつ病」「うつ状態」の実態を紹介して、そこから抜け出す方法などにも触れてはいる。
しかし私は、本書は「まとめ」が「『うつ』にならない12の方法」となっているように、今「ちょっとヘンだな」という人が読んで、重篤な状態にならないためにどう自己防衛してゆくか、また部下を抱える上司(係長、課長といった中間管理職ではなく、部長以上の上級管理職)の人に読んでもらって、意識を変革してもらう啓蒙書だと思った。
著者は、不況によるリストラで、人は減って仕事量は増える、しかし給料は増えないという過酷な労働条件に加え、無理解な雇用者側、特に上司によるプレッシャーで肉体的、精神的な苦痛を強いられる現状の職場環境こそが問題だと述べている。結果、大概の日本人が当てはまる「職場の秩序を守り、まじめに仕事をこなしていく人」ほどつぶれてゆく。また「うつ」的な資質のない人、「うつ」にならなくていい人まで、これら巨大な外的要因(ストレス)でこの病気になってしまう。
著者は「職場のメンタルヘルスはストレスの温床である」「『うつ』は人災である」とまで明言する。
極論すれば、著者は「うつ」を切り口として、普通の勤め人なら1日の大半を拘束される現在の過酷でストレスフルな職場環境に対して「このままではみんな死んでしまう」と警鐘を鳴らしているのである。