発表!『このミス』’05年のミステリーBEST10

国内編のTOPは予想通り、341ポイントを獲得して第2位の108ポイントに3倍差をつけ、東野圭吾の『容疑者Xの献身』がダントツだった。一昨年の『葉桜の季節に君を想うということ』、昨年の『生首に聞いてみろ』に続いて3年連続で「本格パズラー」が第1位になったことは、「本格」をこよなく愛するものとしてはうれしいことである。
一方で第2位以下はまったく予想が外れた。
私が先日、月刊『ダ・ヴィンチ』の日記(12月7日付)で東野圭吾の『容疑者・・』と並ぶ二強と予想した伊坂幸太郎の『死神の精度』は58ポイントで第12位に終わった。
そればかりか、BEST10圏内で私が読んだことのある本は『容疑者・・』を含めても4冊、BEST20圏内まで広げても7冊だった。そのほかは、作家はともかくとして、本書で初めて目にするタイトルがほとんどだった。
このあたりに私のごとき一介のミステリー好きの読者とは違い、毎年何百冊もミステリーを読んでいる専門の選考委員諸兄の懐の深さとミステリーの奥の深さを感じた。
ともあれ、私が’96年版から(創刊号は’88年版)から『このミス』を欠かさず購読しているのは、各メディアのベストセラー情報からだけではうかがうことのできない、面白い、次に読むべきミステリーを捜すためである。そういう意味では今年も例年同様、新しい、意外な、有益な情報を得ることができた。とりわけ海外の翻訳ミステリーは、どれが面白いのかさっぱり分からないので、いつも『このミス』海外編BEST10を参考に、上位の本を読むことにしている。
本書は私にとって、単なるベストテン本では終わらない、ミステリーの読書情報書であり、バイブルでもあるのだ。