今日読み終えた本

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

新書部門で最近『下流社会』に次いで注目を集め、売れている本。先月20日に初版が出て、わずか一ヶ月だがもう7刷目が書店の店頭に並んでいた。
なんか大げさなタイトルだが、著者の論ずるところは論点が明確で、かつ表現がストレートで大変分かりやすい。
今の日本に必要なことは、西欧的な「論理」と「合理性」ではない。もっと噛み砕いて言うと「自由」や「平等」は現実的でなく、フィクションであると断じている。
では、日本社会の荒廃を食い止めるために何が必要かというと、「懐かしさ」「もののあわれ」「惻隠の情」など、「情緒」や「形」を重んじてきた日本固有の文化であり、西欧型「民主主義」ではなく、「武士道精神」であると言う。
私は「論理」と「合理性」の塊と思われる“数学”の権威である著者から、このような国家論が述べられることは、意外ではあったが、とても新鮮だった。
また、今の世の中に閉塞感を抱いて、半ば鬱々と生きている私たち庶民が言いたいことを、すべて代弁してくれたような爽快感すら感じた。最近まれにみる“元気が出る本”だと思う。
この本を読んだほとんどの人が、帯にあるように、日本人であることに「誇り」と「自信」を持ったのではないだろうか。