今日読み終えた本

wakaba-mark2006-01-31

シャングリ・ラ

シャングリ・ラ

スカイパーフェクTV/ケーブルテレビで放送中のミステリー番組専門チャンネルミステリチャンネル」(右上が黒猫をモチーフにしたロゴ)では毎年「闘うベストテン」を選出している。本書は’05年、そこで6人のミステリ評論家たちによって国内部門の第1位に輝いたマニアックな作品である。また「このミステリーがすごい!」の’05年国内編第16位にもランクインしている。
舞台は約100年後の熱帯となった東京。都心の気温を下げるために東京は世界最大の森林都市へと生まれ変わる。しかし地上は難民で溢れ、空中積層都市アトラスに居住できる者は僅かだった…。
かつて香港に実在した“九竜城”を彷彿とさせる「ドゥオモ」を本拠地とする、反政府ゲリラ“メタル・エイジ”の美しきティーンエイジャーの総統・國子、国際炭素経済をコンピューターで操る天才少女・香凜(かりん)、平安絵巻そのままに十二単を纏い、衣冠束帯の従者、女官をしたがえて牛車に乗る深窓の姫君・美邦(みくに)。彼女たちを中心にニューハーフや女医博士、政府軍の将校らが荒唐無稽なバトルを繰り広げる、息もつかせぬ一大アクション絵巻。
そして、東京には積層都市「アトラス計画」の元となった、古代までさかのぼる大地の秘密・“ヘキサグラム”が隠れていた。
とにかく、読んでいても次々に予想外の展開が炸裂する、ミステリーというよりはSFといった方がよい、ハードカバー592ページ2段組、原稿用紙にして1600枚という大作である。
これはもう何も考えず、立ち止まらず、ただただページをめくってゆくしかないノンストップ・エンターテインメントである。