今日読み終えた本

10年後の日本 (文春新書)

10年後の日本 (文春新書)

最近新書部門で売り上げ上位に食い込んできている話題の書。
10章47項目の社会問題を取り上げ、日本の「10年後」の姿を大胆に、分かりやすい平易な文章で予測・解説している。
豊富な客観的数値データを基にしているだけあって、説得力がある。
そんな中で私が最も注目したのは、やはり“団塊の世代”である。
大量リタイアによるGDPの減少、支払われる多額の退職金、また年金の以降世代への影響、彼らのリタイア後の個人消費活動、熟年離婚、“ポスト団塊”の「匠の技」の断絶による技術力の低下、そしてベテラン教師の大量定年退職による教育指導力の低下、etc・・・。その影響はバブル崩壊後の日本経済や“団塊ジュニア”と呼ばれる層にも及ぶ。
本書でも、独立した章を設けての予測・解説のほか、他の章の問題にも少なからず彼らの及ぼす影響が見え隠れしている。
私は“団塊の世代”からちょうど10年下の世代に当たるため、もろにその影響を受けることになるだろう。
良いも悪いも彼らが「10年後」に対して鍵を握っているのは間違いない。
そのほかにも、地球環境の問題、世界経済の問題、アジア情勢の不安定化と、本書が扱う項目は多岐に渡っているが、いずれも明るい見通しではない。
あくまで「問題提起の書」と理解して読んだが、帯の文句にあるように「あなたは生き残れるか」と問われると不安になってくる。