今日読み終えた本

千円札は拾うな。

千円札は拾うな。

本書は今年1月の発売以来ぐんぐん部数を伸ばしている話題の書である。
内容はフツーのビジネスマン、ビジネスウーマンでも参考になる項目もあるが、全般的には、中小企業の社長、ベンチャー企業の起業家、個人経営者に対して、“今”の経済環境の中で成果を残し、生き残るための方法・ヒント・発想の転換をうたっている。
著者が主に中小・ベンチャー企業を対象とした経営・人材・営業コンサルティングを本業としているからだろう。
本書のポイントはだいたい以下の3点に要約されると思う。
1.「目先の損より将来の得」---「損して得をとれ」という言葉があるように、すぐ目の前の経済的・時間的な小さな利益、または損失にこだわらず、二手先、三手先の大きな利益をめざす。本書のタイトルはこの点の象徴だ。
2.「人材への投資」---1.にも関係するが、「お金」と並ぶもうひとつの企業の資源、「人材」。将来、価値を生み出す「人材」に投資することが、のちのち企業の力の差となって現れる。また、仕事の環境を整え、社員に「頭を使って、考える時間やゆとり」を作ってあげることが新たな成果をあげることになる。
3.「変わること」=「捨てること」---これだけ変化の激しい時代を生き抜くためには、常識・伝統・大切な顧客・過去の成功例などのこだわりを捨て、ゼロから「あたらしいこと」を取り入れ、作り上げていかなければ確実に将来的に会社は立ち行かなくなる。
全編にわたって述べられる著者の言葉は一見常識外れのようにも思えるが、“今”を生きぬくためのヒントとしては的を射ているといえる。本書がこれだけ注目されるのは、「なんとかしたい」と思っているマーケット(土壌)が幅広く存在するからだろう。