今日読み終えた本

クリスマス・プレゼント (文春文庫)

クリスマス・プレゼント (文春文庫)

’03年12月に、アメリカで『Twisted(ひねり)』というタイトルでリリースされた著者初の短編集。’95年から’02年にかけて、主に本国版EQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)に掲載された作品に、著者の代表シリーズのキャラクター、リンカーン
ライムが登場する書き下ろし1編を加えた16編からなっている。
長編作品におけるジェフリー・ディーヴァーの持ち味である、“どんでん返し”、“意外な結末”、“ノンストップ・ジェットコースター・サスペンス”は、短編でも、いや短編だから
こそいかんなく発揮されている。
ラインナップも、ラストであっと言わせるワンショットものを軸に、ひねりのきいたアイデア・ストーリーから、ハートウォーミングな音楽ミステリー、法廷サスペンス、サイコスリラー、シェイクスピアが重要な役割を演ずる歴史ミステリーまで幅広い。
いずれ劣らぬ逸品ぞろいだが、特に私の印象に残った作品をいくつかあげてみる。
妻の不倫相手を手にかける男の物語だと思って読んでいると・・・。(「三角関係」)
連続殺人が起きている州立公園周辺へ、趣味の釣りに出かけると・・・。(「釣り日和」)
ストラディヴァリウスの強奪事件が、思いがけず心温まる物語に・・・。(「ノクターン」)
罪を認めない悪党と対峙する検事の、逆転勝利の秘策とは・・・。(「被包含犯罪」)
ありふれた失踪事件が、やがてとんでもない事態へ・・・。(「クリスマス・プレゼント」)
未亡人と詐欺師の騙しあいの、二転三転の後の結末は・・・。(「パインクリークの未亡人」)
ストーカーに悩む少女が、本当に邪魔に思っていたのは・・・。(「ひざまずく兵士」)
本書は、ファンである私にとって、ディーヴァーから贈られた、まさに半年遅れの
‘クリスマス・プレゼント’だった。