今日読み終えた本

夜より暗き闇(上) (講談社文庫)

夜より暗き闇(上) (講談社文庫)

夜より暗き闇(下) (講談社文庫)

夜より暗き闇(下) (講談社文庫)

“当代最高のハードボイルド”といわれる、マイクル・コナリーの<ハリー・ボッシュ
・サーガ>シリーズ第7弾。
’03年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門次点(11位)、「このミステリーがすごい!」海外編第20位。
本書は、<ハリー・ボッシュ>シリーズの一巻ではあるが、ノン・シリーズの名作『わが心臓の痛み』の主人公テリー・マッケレイブが登場し、ハリー・ボッシュ以上の活躍を見せてくれる。また、これもノン・シリーズの傑作『ザ・ポエット』の主人公ジャック・マカヴォイもゲスト出演している。
物語は、ふたりの行動が交互に描かれて進んでゆく。一方は、当局が捜査に行き詰まったある家屋塗装工の惨殺事件解決の手助けを頼まれた元FBI心理分析官マッケレイブの綿密なプロファイル作業と、心臓移植を受けた身というハンデがありながらも、つい力がはいってしまう捜査活動である。
もう一方は、ハリウッドの女優殺しのかどで、ボッシュ自らが逮捕した映画監督の裁判シーンである。この法廷ではボッシュも証人として出廷し、証言をする。
マッケレイブのプロファイルでは、なんとボッシュが塗装工惨殺事件の重要容疑者となるという衝撃的な展開を見せたり、一方では一流のリーガルサスペンスを読んでいるような息詰まる法廷シーンが続いたりして、それぞれの場面は独立して進行するが、
ラストに至って、それぞれの事件も、ふたりも、シンクロするのである・・・。
私は、本書はコナリー作品三大スターがそろい踏みしたシリーズ番外編ではないか、いやむしろマッケレイブを主役に据えた『わが心臓の痛み』の続編ではないかとさえ
思った。そしてハリー・ボッシュとテリー・マッケレイブの、ふたりの物語は、シリーズ
第10作『天使と罪の街』へと続き、また新たな<ボッシュ・サーガ>の1ページを作るのである。