今日読み終えた本
- 作者: ポール・リンゼイ,笹野洋子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/08/03
- メディア: 文庫
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主人公マイク・デヴリンは本書のあと、『宿敵』、『殺戮』にも登場する。本書と併せて
三部作という人もいる。
<検屍官>シリーズのパトリシア・コーンウェルが、マイク・デヴリンを、ひいては著者ポール・リンゼイを激賞したということも本書の惹句になっている。
さて本書であるが、メインとなる物語は、デヴリンの同僚のティーン・エイジャーの娘の誘拐事件の捜査活動である。これに彼をはじめとする多彩な仲間たちが、デヴリンの親友でもある男の倉庫を捜査本部(アジト)として参加するのである。
第1部では、後半の展開のための伏線作りおよび仲間となる人々の登場と、FBIデトロイト支局の雰囲気やメンバーの紹介に紙面が費やされている。そのため、いささか冗長だが、その分第2部では、デヴリンのきびきびとした鮮やかな指揮のもと、仲間たちが一致結束してねばりづよく捜査を続けるさまが、テンポよく描かれている。
そして何よりも、内部の者ならではの、全編にちりばめられた辛口のユーモア、アイロニー、小気味のよい会話のやりとりなどが、こんなことまで暴露してよいのかと思うほどに、本書に強烈な彩りと厚みを与えているのだ。
ともあれ本書は、著者ポール・リンゼイ=主人公マイク・デヴリンのプロフィールとキャラクターとで読ませるドキュメンタリー・タッチのエンターテインメントである。