今日読み終えた本

狩りのとき〈上〉 (扶桑社ミステリー)

狩りのとき〈上〉 (扶桑社ミステリー)

狩りのとき〈下〉 (扶桑社ミステリー)

狩りのとき〈下〉 (扶桑社ミステリー)

スティーヴン・ハンターの“ボブ・リー・スワガー・サーガ”4部作の第4作。
壮大なスケールの年代記は本書をもって幕になった。
’99年、「このミステリーがすごい!」海外編第15位にランクインしている。
ショッキングな幕開けの「プロローグ」の続きは「第3部」までおあずけとなる。
「第1部」では、海兵隊員のダニー・フェンがヴェトナム戦争の機密漏洩事件に巻き込まれるスパイ小説の趣すらある内容である。上層部からの指示を断固拒否するダニーは退役間近にもかかわらず、再度ヴェトナムの最前線へ送り出されるのである。そこで伝説のスナイパー、ボブ・リー・スワガーとチームを組むのが「第2部」である。
著者本人がヴェトナム戦争の最前線の経験者であるかのごとく、その詳細な叙述は
並みの戦争小説のレベルをはるかに超えている。そして、宿命のライバル、ロシア人のスナイパー、ソララトフが登場する。
「第3部」は、時は現代、場所はアイダホの牧場でひっそりと暮らすボブ一家を再びソララトフが襲う。本書で最長の第3部のそのまた最長の後半部のチャプター48は、ボブとソララトフの死闘のクライマックスが描かれており、最大の読みどころである。
これで話は終わったかと思ったら、「第4部」では“どんでん返し”が待っていた。
いずれにしても、文庫上・下巻あわせて959ページという、シリーズ最長のボリュームを誇るこの大長編は、どこをとっても読み応え満点の傑作巨編である。


これからこのシリーズを読む方には、出版社こそ2社にまたがっているが、現在では
すべてが翻訳されているので、くれぐれも本国アメリカの発表順に読まれることを
お勧めする。すなわち『極大射程』→『ダーティホワイトボーイズ』→『ブラックライト』
→『狩りのとき』の順である。