今日読み終えた本

悪徳の都〈上〉 (扶桑社ミステリー)

悪徳の都〈上〉 (扶桑社ミステリー)

悪徳の都〈下〉 (扶桑社ミステリー)

悪徳の都〈下〉 (扶桑社ミステリー)

『狩りのとき』で幕を閉じたはずの“ボブ・リー・スワガー・サーガ”だったが、今度は
父親のアールを主人公にした3部作の“サーガ”が続いて書かれていた。本書はその第1作に当たり、’01年、「このミステリーがすごい!」海外編第14位にランクイン
している。
太平洋戦争で硫黄島の英雄だったアール・スワガーは、1946年、その戦功により
トゥルーマン大統領から名誉勲章を授与された。彼は、海兵隊を引退して製材所で
働いていたが、その腕を見込まれ、ギャングと腐敗の町ホットスプリングスを
浄化するために、違法な賭博の摘発(手入れ)をおこなう部隊の隊員たちを鍛え上げて欲しいと、教官としてリクルートされる。彼は指導者としてのみならず、自らも命がけで武力による摘発行動に参加するのだ。一方、町を牛耳る陰の統括者マドックスは、アールと摘発部隊のおかげで散々な目にあわされ、武装強盗団を呼び寄せて復讐へと転じる。双方あとに引かない闘いはアールを窮地に立たせる。
そして、永年彼の心の奥底に秘めてあった父チャールズの死の驚くべき真相が部下の調査から明らかに・・・。
とにかく、ハードアクションてんこ盛りの展開のストーリーだが、その根底には銃器との関係が切っても切れないアメリカのありようが濃密に描かれているような気がする。
本書は、まさに“骨太”な男のドラマなのだ。


余談だが、本書には往年のエンターテイナーや銀幕スターが実名で登場したり、
のちにラスヴェガスをつくる‘バグジー’が出てきたり、なんとなく歴史が感じられて、
そういう意味でも興味深い。