今日読み終えた本

氷結の森

氷結の森

過去も故郷も棄て流浪する男と、彼を追う男。 20世紀初頭の北東北・樺太・ロシア。
流転する人生の行き着く先は・・・?  「相剋の森」、直木賞・山本賞ダブル受賞作
「邂逅の森」に連なる<森シリーズ>マタギ3部作完結編。とはいえ、本書は前の2作品とはかなり趣を異にしており、歴史冒険小説に仕上がっている。
第一次世界大戦が始まって4年。柴田矢一郎は故郷の秋田県阿仁を離れ、樺太
鰊場、伐採現場・・・と、ひとところに落ち着かず、流浪の生活を続けている。そんな彼を探し回る男・松岡辰治は、矢一郎の死んだ妻シズの弟だった。辰治は矢一郎を姉の仇と思い、10年も追跡を続けていたのだ。雪深い森で、辰治の散弾銃を浴びた矢一郎は、危機一髪、先住民族ニブヒ族の猟師・ラムジーンに救われる。彼の娘タイグークを連れ去った一味を追って、矢一郎はサハリンから凍結した間宮海峡を越え、ロシアに渡る。娘を探し出し樺太に送り届け、彼に思いを寄せ続ける香代と所帯を持とうとするが、またしても過酷な運命が矢一郎を待ち受けているのだった・・・。
結末が、ロシア(ソビエト)のパルチザンとの戦いで、ハッピーエンドでないところが哀しくて、何ともやり切れない。