今日読み終えた本

ハンニバル(上) (新潮文庫)

ハンニバル(上) (新潮文庫)

ハンニバル(下) (新潮文庫)

ハンニバル(下) (新潮文庫)

週刊文春20世紀オールタイムベスト1」に輝いた『羊たちの沈黙』の続編。
’00年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第1位、「このミステリーがすごい!」海外編第3位にランクインしている。
あのレクター博士が帰ってきた。前作の不気味な拘束服姿とは打って変わって、黒い瀟洒なスーツに身を包んで。一方、本書のもうひとりのメインキャラクター、かつてレクターの犠牲となり、障害者としての生活を余儀なくされている異形の大富豪メイスン・ヴァージャーは、金にあかせてレクター狩りに狂奔する。そしてイタリア・フィレンツェ警察の思惑なども入り乱れるなか、事態は再び動きはじめ、レクターが冷血な連続殺人鬼として復活する。彼は、復讐に燃えるヴァージャーの触手をかわしつつ、返り討ちを図る。FBIの特別捜査官となったクラリスも健在だ。レクターを追う過程で、彼女も
また、レクターとヴァージャー両者の対決にいやおうなく巻き込まれていかざるを得ない・・・。
殺人場面の異常性とむごたらしさ、レクター博士の異常趣味と異常心理、ヴァージャーの悲劇的な最期とその妹の狂気、と昨今のサイコロジカル・スリラー界にあって、やはり本書には真打登場のインパクトがある。さまざまな模倣者やフォロワーを生んできたレクター博士クラリス捜査官だが、やはり本家は迫力が違う。短い章立てで繰り出されるこれでもかというパンチの数々に、読者はあらためて本書こそ最強のサイコ・スリラーだということを思い知るだろう。


ちなみに、本書が今年私の読んだ70冊目の本となった。