今日読み終えた本

wakaba-mark2007-11-07

サニーサイドエッグ (創元クライム・クラブ)

サニーサイドエッグ (創元クライム・クラブ)

ミステリーやSF、ホラー系のジャンル小説から一般文芸まで幅広い作風で知られる
萩原浩だが、今回久々にデビュー時を彷彿とさせるユーモア小説に戻ってきた。
本書は、’99年にハードカバーで、’02年に文庫(右上の表紙)で発表された『ハードボイルドエッグ』の続編である。・・・であるからして、当然主人公はフィリップ・マーロウに憧れながらも、仕事の中心はペット探しという私立探偵最上(もがみ)俊平である。
前作に比べて、それしか依頼がないのか、ペット探しが板についたのか、捜索方法がグレードアップしている。まず依頼主と始めて話をする時の「調査書」、「1クールを5日間」とする調査期間、自称ステーションワゴンに搭載された「ペット捕獲装備」の数々
など、学習の成果が見られる。
今回のメインは、小料理屋の美人女将から依頼されたロシアンブルーの捜索だ。ところがそれに取り掛かろうとしていたら今度は暴力団の親分から、またロシアンブルーの捜索を依頼されてしまう。一体どうなっているんだ。やがて・・・この猫探しは、ただの
猫探しではなくなってゆくのだ。
また、今回も秘書にかき回される。前作の綾ばあさんはまだ内勤もあったが、今度の茜は若いので外で一緒に、または単独で行動するだけに世話が焼ける。おまけに彼女には・・・。そして、大手同業者の存在や、前作から積み残している課題があったり、
連続動物虐殺事件が発生したりと、ドタバタ劇もここに極まれり、というところか。
本書で読者は、萩原浩ならではの、ちょっぴりのミステリーを含んだ、たっぷりのユーモアの世界を思い切り堪能することができる。