今日読み終えた本

ハスラー (扶桑社ミステリー)

ハスラー (扶桑社ミステリー)

ポール・ニューマン主演で大ヒットした’61年のプール・ビリヤード映画『ハスラー』の
原作。’59年の発表というから、私が生まれた翌年の作品で、約半世紀を経て初めての邦訳が実現したわけである。
物語自体は実にシンプルである。プール・ビリヤード界の若き風雲児エディが、シカゴにやってきて帝王ミネソタ・ファッツに挑戦し、一度は敗れるも再び挑む、という話で
ある。作品のボリュームも一気に読めてしまう長さだ。
しかし、極端に切り詰めたハードボイルド文体は非情な勝負の世界をドライに描いており、ビリヤード場の描写などは、読んでいると、渦巻くタバコの煙で目が痛くなるほどだ。それだけウォルター・テヴィスの筆力を感じる。
ともあれ、エディ・フェルソンとミネソタ・ファッツの、特に最初の40時間以上にも及ぶ
息詰まる対決は、映画以上にスリリングで迫力がある。
本書は、古さをまったく感じさせない、まさに今こそ読むべきギャンブル小説の名作である。