今日読み終えた本

wakaba-mark2008-02-26

ストーン・シティ〈上〉 (新潮文庫)

ストーン・シティ〈上〉 (新潮文庫)

ストーン・シティ〈下〉 (新潮文庫)

ストーン・シティ〈下〉 (新潮文庫)

’93年、「このミステリーがすごい!」海外編第1位に輝いた問題作。
舞台は、約2000人の凶悪犯が収容された、ひとつの街ほどの規模を持つ巨大な
重警備刑務所。ストーリーは、飲酒運転で少女を轢き逃げし、実刑を食らった大学教授バウマンが、刑務所内で起こった連続殺人事件の捜査を強制的にさせられるというもの。バウマンは、殺人の被害者と親しかったゲイの青年の助けを借り、事件の関係者を洗うのだが・・・。
<暴走族クラブ>、<終身刑囚クラブ>、<白人同盟>、<黒い国士軍>の各グループを始め、メキシコ人グループやインディアングループが、それぞれ覇権を争い、それに看守や警察・検察がからんで捜査は一筋縄では行かない。
しかし本書は、とおりいっぺんの犯罪捜査小説ではない。スミスはむしろ刑務所の
内部実態を生々しく描くことを主眼においているように思える。バウマンにしても青白い
学者としてではなく、『ダイ・ハード』のようなタフな主人公として描かれている。
キーワードはまさに暴力と汚物だろう。本書で詳細に、「これでもか」と容赦なく描かれる刑務所内部はまさに地獄か魔界。悲劇的な幕切れと共に、桁外れの凄まじさが読む者を圧倒する。