今日読み終えた本

紳士たちの遊戯 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

紳士たちの遊戯 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

「学園に忍び寄る影」、「さあ、頭脳ゲームの始まりだ!」という帯の文句に惹かれて
読んだ。
物語の視点はふたつ。
ひとつは伝統あるセント=オズワルド・グラマースクールの老ラテン語教師ストレートリーの視点による現在進行形のオズワルド校。この学校に次々と不可解な事件が起きる。それは、はじめは些細なものだったが、次第に警察が介入するような重大な事件になってゆく。
もうひとつはオズワルド校に恨みを抱き、それらの事件を引き起こし、復讐を次々に
仕掛ける謎の人物の過去および現在の“倒叙ミステリー”スタイルの独白。
このふたつの一人称が交互になされてストーリーは、チェスのゲームになぞらえて
進んでゆく。
この物語の謎のひとつは犯行の動機だが、犯人の独白からは、なぜこんな事件を起こしているのか、終末近くに至るまでわからない。しかし終末に至って、思いもかけない謎の解明と、どんでん返しが用意されていた。振り返ってみれば、物語のそこかしこに伏線が忍ばせてあったし、何より表紙からして重要な伏線になっていた。
本書は、文庫611ページ、成程、なかなか“読ませる”「すべての読者に挑戦する大胆不敵な知的」本格的ミステリーである。