今日読み終えた本

死は見る者の目に宿る (ランダムハウス講談社文庫)

死は見る者の目に宿る (ランダムハウス講談社文庫)

’89年6月、地方の伝統あるマンズベリー美術大学の講堂の地下室で6体の女性の惨殺死体が発見された。犯人はその日のうちに逮捕される。彼はある歌の歌詞どおりに犯行を重ねていた。有罪となった彼は’97年に処刑される。
しかし、事件から16年経った’05年6月に、当時とそっくりな連続殺人が起こる。今度は2番の歌詞どおりの犯行だ。模倣犯の仕業か、それとも前の事件の犯人は無実で真犯人は別にいたのか、それなら誰が何のために長い年月を隔てて殺人を再開したのか。当時の事件に携わった検事補で、いまは弁護士に転身して成功を収めている
ライリーは悩む。
事件の真相は最初の事件の6番目の被害者の身辺にあるとにらんだライリーは、再び事件の渦中へと入り込んでゆく。ところが彼女にまつわる意外な事実が明らかになるにつれ、真相に近づくどころか謎は深まるばかりで、最後まで落ち着く先は見えない。
物語は、ライリーを中心に、今度の事件の捜査官マクダーモット、そして容疑者レオと、それぞれの抱える問題や葛藤を絡ませながら、一人称、三人称を交えた視点で、時には過去へとさかのぼりながら、短い章立てでテンポよくサスペンスフルに進んでゆく。
本書は、センセーショナルな猟奇事件に加え、数々の謎、そして登場人物たちの人間ドラマと、盛りだくさんの内容を含んだ、緊迫感あふれるミステリーである。