今日読み終えた本

殺人にうってつけの日 (新潮文庫)

殺人にうってつけの日 (新潮文庫)

ブライアン・フリーマントルの、“裏切りと復讐”をテーマとしたノン・シリーズ作品。
ジャック・メイソンはCIAの元敏腕工作員。彼はKGB部員ソーベリに自国の情報を流していたかどで15年間を獄中で過ごすことになった。
当のソーベリはKGBから足を洗い、ジャックの妻だったアンと結ばれ、「証人保護プログラム」に守られ、アメリカに亡命して名前もスレイターとかえて息子と3人で幸福に
暮らしていた。
メイソンの恨みはつのり、コンピューターのハッキング技術の習得、肉体の鍛錬など
出所後の復讐をひそかに誓う。そして、いよいよ刑務所から出た彼は計画を実行に
移すのだった。
一方、もともと「売国奴」であり、家庭で肉体的、精神的な虐待を受けていたアンは
メイソンの残忍さをよく知っており、釈放間近と聞いた時からおびえはじめる。
物語は、狙われるスレイター一家と、それをつけ狙うメイソンの行動が交互に描かれ、サスペンスを盛り上げて進行してゆく。
本書は、従来の“復讐”ものにひとひねりが加えられ、攻めるものと守るものの人物
造形の妙と、巧みで緻密な心理描写とで、一気に読ませるページ・ターナーに仕上
がっている。