今日読み終えた本

遺伝子捜査官アレックス/殺意の連鎖 (ハワカワ・ミステリ文庫)

遺伝子捜査官アレックス/殺意の連鎖 (ハワカワ・ミステリ文庫)

女性の警察官、検察官、弁護士、検屍官精神科医などが主人公となって活躍する
作品は数々あるが、本書では新たに遺伝子学者がヒロインとして登場する。
メインのストーリーは、ヒロインのアレックスが、不本意ながらも連続殺人事件の捜査班に加えられ、専門のDNA鑑定を武器に犯人を突き止めてゆくというものだが、
ワシントン政界の政治家たちの利害のやりとりがあったり、別の殺人事件が起こったり、お約束のロマンスがあったりと、サイドストーリーもなかなかにぎやかである。
次第に犯罪捜査にのめりこんでゆくアレックスだったが、ラストで意外な結末と彼女自身も襲われるという危機が待っていた。
ローリー・アンドリューズは、フィクションとしてのミステリーは本書がデビュー作だそうだが、法医学と遺伝子学の専門家として国際的に知られているだけあって、その経歴を生かした知識が作品にいかんなく描きだされていて、アレックスの捜査活動を含めて作品のリアリティーを高めている。
また、アレックスの活躍の場が米軍の病理研究所(AFIP)というのも目新しいし、
そこが犯罪捜査を行うのもユニークである。
本書は、緻密でスリリングな遺伝子科学捜査とロマンチック・サスペンスが融合した
エンターテインメントである。