今日読み終えた本

四十七人目の男〈上〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-14)

四十七人目の男〈上〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-14)

四十七人目の男〈下〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-15)

四十七人目の男〈下〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-15)

伝説のスナイパー、ボブ・リー・スワガーが日本を舞台に活躍する物語である。
まもなく60才になり、アイダホで静かに暮らすボブの元に、ある日、矢野という男が
訪ねてきた。彼の父はボブの父と硫黄島で戦ったが、その際、父が携えていた軍刀
探しをボブに手伝ってほしいとのことだった。
ボブは苦心の末、その刀を見つけ、日本の矢野のところへ届ける。矢野が吟味すると、その軍刀は、なんと「忠臣蔵」に関係する古い日本刀が戦争用に造りなおされた物らしいことがわかる。ところがある一党がその刀を狙って、矢野一家を惨殺する。
矢野とその家族の“仇”を討つために、ボブは銃を捨て、厳しい剣術の稽古を積んで、日本刀でもって大立ち回りを演ずる。ボブと日本のヤクザたちが白刃と白刃で火花を散らす場面は、さすがハンター、本書の大きな読みどころである。
だが、読み通して思ったが、全編に漂う日本の“サムライ”、“恩”、“仇討ち”、“武士道”などは、欧米の読者には「極東の神秘の国・日本」の歴史・伝統文化として興味を惹かれるだろうが、日本の読者にははたしてウケるだろうかということだった。
また、本書だけでなく、『極大射程』をはじめとする、ボブとその父アールの一連の
<スワガー・サーガ>シリーズを読んでいないと、ボブ・リー・スワガーとは何者であるかなど、この作品を充分楽しめないのではないかとも思った。