今日読み終えた本

ネームドロッパー〈上〉 (新潮文庫)

ネームドロッパー〈上〉 (新潮文庫)

ネームドロッパー 下巻 (新潮文庫 フ 13-59)

ネームドロッパー 下巻 (新潮文庫 フ 13-59)

ハーヴェイ・ジョーダンはプロのネット詐欺師。他人の個人情報を盗み出して、本人になりすまし、ネット上から財産を騙し取るのを生業としている。そんな彼は、ひと仕事
終えて南フランスへヴァカンスに訪れた。そこで美しい人妻アリスとつかの間の情事を楽しむ。
ふたりは住所も電話番号も交換しないで別れるのだが、ロンドンに帰国したジョーダンは、なんとそのアメリカのアリスの夫から彼女共々姦通罪で訴えられてしまう。
物語の大半は、アメリカはノースカロライナの法廷が舞台となり、被告となったジョーダンをはじめ、アリスや彼らの弁護士と、原告側のアリスの夫アップルトンや彼の愛人とそれらの弁護士の駆け引きに終始する。
法廷では、だれがだれに性病をうつされたというような話がつづいていささか食傷気味になる。
しかし、ジョーダンが得意のネット詐欺の手口を駆使して、原告であるアップルトンの
口座から、長期化して莫大な金額になるであろう裁判費用や、アメリカ滞在費用、
損害賠償費用、そして自らの弁護士費用分などを失敬するくだりは興味深かった。
読者としては、もっとジョーダンの本業であるネット詐欺の場面を期待したのだが、
本書は法廷での騙し合いに近いやりとりがメインの知的攻防サスペンスだった。