今日読み終えた本

フリッカー、あるいは映画の魔〈上〉 (文春文庫)

フリッカー、あるいは映画の魔〈上〉 (文春文庫)

フリッカー、あるいは映画の魔〈下〉 (文春文庫)

フリッカー、あるいは映画の魔〈下〉 (文春文庫)

’98年、「このミステリーがすごい!」海外編堂々第1位に輝いた大巨編。
なにしろ文庫上・下巻にしてちょうど1000ページ、会話文が少なく、ほとんどぎっしりの内容なのである。
読者は、主人公の‘ぼく’ことジョナサン・ゲイツと一緒に伝説の映画監督マックス・キャッスルのB級映画と出会う。そして観る者の心へ扇情的に訴えかける彼の映画に魅せられる。才能の絶頂期に忽然と姿を消したキャッスルの謎に取り憑かれ、そしてそれを調べるうちに、ある宗教団体と遭遇する。
ストーリーの進行はきわめてゆっくりだが、キャッスルの謎とあわせて、めくるめく映画のトリビアが読むものを圧倒する。
本書は、キャッスルのとりこになった‘ぼく’の悲劇の物語であると共に、ミステリーと
いうよりは映画ファンを充分悩殺させる文学作品のおもむきを持っている。