今日読み終えた本

モダンタイムス (Morning NOVELS)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

’08年度の本屋大賞山本周五郎賞を受賞した『ゴールデンスランバー』から約1年ぶりの長編。’05年の『魔王』の続編とのことだが、あれから50年ほど経った21世紀半ば過ぎの物語で、関連性はさほど強くないので、独立した物語として読むことが
出来る。
「実家に忘れてきました。何を?勇気を」と、のっけから伊坂テイストにあふれる
フレーズではじまる作品である。
渡辺拓海は、多忙を極めるシステムエンジニア。ある日、課長から失踪した社員に
かわってプロジェクトを継続実行するよう命じられる。その日から彼の周りで奇妙な
事件が続く。先輩社員の失踪にはじまって、同僚の誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪、妻に不倫調査を雇われた男の家の火事など、不穏な出来事のオンパレードだ。しかも、それらは、パソコンである言葉を検索した者に降りかかるようなのだ。
この謎を解くべく、渡辺、同僚そして彼の妻や、失踪していた先輩社員も加わって、
一大冒険活劇が繰り広げられる。
本書では、あいかわらず、「人を喰ったような」伊坂ワールドは健在だが、書き下ろし
とは異なり、もともとは週刊コミック雑誌の連載小説だっただけに、各章の終わりの、
次回予告っぽい期待感と、全56章のそれぞれに読みどころがあり、ファンとしては
充分楽しむことができた。