今日読み終えた本

アレクサンダーの暗号 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

アレクサンダーの暗号 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

アレクサンダー大王といえば、今から約2300年前にヨーロッパからアジアにまたがる大帝国をうちたてた世界史上の英雄である。
本書は、構想と執筆に10年以上の歳月を費やした、現代のエジプトを舞台に、いまだ見つかっていないこのアレクサンダー大王の墓と遺体のありかをめぐる時空を超えた歴史サスペンスである。
題名には「暗号」とあり、女性主人公の言語学者が古代文字を解読するシーンも出て
くるが、本書は、よくあるような、古文書の暗号を解読だけして、アレクサンダーの墳墓にたどりつくというような小説にはおさまっていない。
多種多彩な人物たちを、映画のカットバックのような手法で交互に次々と登場させて、物語を紡いでおり、歴史ミステリーとしての謎解きを縦軸におき、横軸には、莫大な
財宝の匂いをかぎつけた組織の国際的な陰謀や、あるきっかけから逃避行を続ける羽目に陥った異端の考古学者である主人公をはじめ、彼らに翻弄される考古学者
たちの冒険活劇、そして重病の娘を持つ建設業者の、親としての愛情エピソードなど、
読みどころは幅広い。
本書は、ただの歴史ミステリーを超えた、壮大なアドベンチャードラマである。