今日読み終えた本

血の記憶(上) (講談社文庫)

血の記憶(上) (講談社文庫)

血の記憶(下) (講談社文庫)

血の記憶(下) (講談社文庫)

ニューオーリンズで中年以上の男性ばかりが襲われるという残虐な連続殺人が
起こっていた。被害者はいずれも全身に人間の口による深い噛み痕がついており、
拳銃によってとどめの一発が前頭部に撃ちこまれていた。加えて現場の壁には次の犯行を示唆する血文字が・・・。
ここで登場するのが31才の法医歯科学者キャサリン・フェリー。これは、彼女が遺体の歯の噛み痕を鑑定し、犯人に迫ってゆくサイコサスペンスか、と思って読み進んでゆくと、実はそうとも言い切れなかった。
彼女はなぜか連続殺人事件の現場で被害者の死体を見た後、立て続けに失神し、
捜査からはずされてしまう。さらにアルコール中毒で、軽い精神障害のため安定剤を常用する彼女は、あろうことか妻子持ちの刑事と不倫の末、身ごもってしまう。
ここで物語は一転、キャサリンが地元の名家である故郷の実家に帰り、23年前の
父親の死の謎と向き合うことになる。そしてそれを追い求め、洗いなおす彼女の身にも危険が迫る。
果たして過去の事件とニューオーリンズの連続殺人事件との関係は・・・。
本書は、本の帯には「サスペンスの最終進化形」とあるが、私は、キャサリンが、
これらの事件をきっかけに、正義と真実を求め、さまざまな障害を乗り越え、
タフに立ち向かう自分探しの旅を描いた心理ドラマであると思った。