読書記録7
- 作者: ジリアン・ホフマン,吉田利子
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 文庫
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主人公は、前2つの作品で活躍したC・Jの後輩にあたるジュリア検事補である。
さんさんと太陽が降り注ぐマイアミの高級住宅地、コーラル・ゲーブルズで幼い子供
3人と母親の一家惨殺事件が起こった。警察は傷を負いながらも生き残った父親
デヴィッドを犯人として逮捕する。しかし、彼は人望の厚い優秀な整形外科医だった。しかも彼の国籍はフランス。難しい裁判が予想された。検察側は次期地方検事の
呼び声も高い花形検察官リックを中心に裁判に臨むが、彼らは28才のジュリアを
次席検察官として大抜擢する。
ところが、弁護側は、デヴィッドは「統合失調症」を患っており、事件当時「心神喪失」
状態だったとして無罪を主張してきた。しかも彼には統合失調症の一卵性双生児の
兄弟まで存在した。死刑を求刑し、訴訟能力のある反社会性人格障害のデヴィッドが、罪を逃れんとして詐病をよそおっているとする検察側。精神鑑定医を含めて
真っ向から対立する弁護側と検察側。緊迫感のある法廷でのやりとりが展開される。
また、この裁判はジュリアにとって自身の悲劇的な過去と向き合うことを意味するの
だった。15年前、兄により父母を殺され、しかもその兄は「統合失調症」による「心神喪失」状態で無罪となり、今は、ニューヨークの厳重警備病院に措置入院していた。
ここまで来ると本書はエンターテインメントの域を超え、社会に対する告発小説の色を濃くしていると言わざるを得ない。私は、かつてこれほど終盤での陪臣員の評決に
注目した物語は無い。精神が健全か病んでいるかなどはほんの紙一重の差では
なかろうか。