読書記録65

ソウル・コレクター

ソウル・コレクター

“ノンストップ・ジェットコースター・サスペンス”、“驚愕のどんでん返し”でアメリ
・ミステリー界を席巻するジェフリー・ディーヴァーが放った<リンカーン・ライム>
シリーズ第8弾。
今回、ライムと相対するのは電子データを操り、証拠を捏造し、殺人を繰り返す頭脳犯であり、異常者である。彼の手にかかった被害者は、プライベートデータをほとんど
把握され、かつ自らは安全圏において、容疑者となる者のデータも改竄され、
身に覚えのない罪を着せられる。
物語は、ライムのいとこが殺人容疑で逮捕されるところから始まる。“そろいすぎた
証拠”、“タイミングの良すぎる目撃者による通報”、“無実を訴える容疑者”に違和感を抱いたライムが調べると、過去にも似たような事件が2件起こっていた。
ここからおなじみのライム・メンバーと見えざる敵との闘いがはじまる。
しかし、いつものホワイトボードのプロファイリングもなかなか具体性を示さない。
ライムの先手を打つ作戦もいつものように思うに任せない。神のごとき強大な力
を持つ敵に、ライムと仲間たちはかつてない苦戦を強いられる。
ストーリーは、各章末に、読者にスリルを抱かせるスタイルで、なるほどディーヴァー
らしいジェットコースター・ライド型で進行してゆくが、お得意の“大どんでん返し”
はない。
しかし、われわれにとっても他人事ではない、身近な恐怖を感じさせる、
まさに現代情報化社会における個人情報保護のありようをテーマにした、
最先端をゆく作品である。