読書記録59

wakaba-mark2011-04-20

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

’81年、『オフシーズン』でデビューした、アメリカ・ニュージャージー州のホラー作家
ジャック・ケッチャムが’89年にペーパーバックで発表し、’96年にハードカバーで
復刊された第2作。映像化もされ、DVDになっている。’98年の邦訳以来版を重ねて長く読まれてきたが、ここにきて書店でのPOPや新しい帯のキャッチコピーのアピールで人気が再燃している。ちなみにペンネームのジャック・ケッチャムは、英国の絞首刑執行人に代々受け継がれている名前だそうだ。
ウォール街で成功をおさめ、2度の離婚を経験、3度目の結婚を控えた‘わたし’こと
デイヴィット・モーラン41才が、12才半だった1958年の夏を想い出して語る。
全部で5部構成の第2部あたりまでは、‘わたし’が交通事故で両親を亡くして親戚
である隣りのチャンドラー家に預けられたメグことミーガン・ロクリンとその妹で下半身に重度の障害を残したスーザンと出会い、メグに“異性”を意識したり、悪童たちと遊んだりといった、まるでロバート・マキャモンの『少年時代』を彷彿させる、ノスタルジックなストーリーだが、第3部から雲行きが怪しくなり、第4・5部は、凄惨な“虐待”シーンの連続となる。
このさしたる理由もない、おぞましくもエスカレートする集団暴行と、それを先導し、
その場を支配する隣家の主婦ルースは異常である。これは昨今問題化されている
児童虐待”をはるかに超え、通常の“ホラー”の範疇では理解できない小説
である。私は、ホラー小説から受ける生理的な“恐怖”というより、“嫌悪感”を抱いた。
本書は、読者をしばらく眠れない・立ち直れないほどのショックを与える“極悪小説”
である。未成年者は決して読むべきではない。
また、軽い気持ちで手にとっては絶対いけない。