今日読み終えた本

死神の精度

死神の精度

何をかくそう私は伊坂幸太郎のファンだ。
2003年に4作目の『重力ピエロ』が直木賞候補となり、一躍ブレイクしたが、私は5作目の『アヒルと鴨のコインロッカー』を読んでハマってしまい、2000年のデビュー作『オーデュボンの祈り』から最新の本書まで単行本化された8作品全部と講談社の『エソラ』というムック創刊号掲載の中編『魔王』を読んでいる。(先月末発行の『エソラ』創刊2号に『呼吸』という中編が掲載されたが、これは未読である。)
私が好きな作品は上述の『アヒルと鴨のコインロッカー』(第25回吉川英治文学新人賞受賞/昨年度「このミステリーがすごい!」国内編第2位/昨年度第1回本屋大賞で『博士の愛した数式』、横山秀夫の『クライマーズハイ』に次いで第3位。第5位にも『重力ピエロ』がランクインしている。)と2作目の『ラッシュライフ』である。
(彼の6作目の『チルドレン』は今年の第2回本屋大賞で第5位にランクインしている。)
彼の作品は『MOMENT』、『MISSING』の本多孝好らと共に「ナイーブ系ミステリー」と呼ばれている。
「人の言葉を話す案山子」が殺されたりという、常識をはるかに超えたインスピレーションの持ち主で、リアリズムから浮遊した不可思議な世界を構築して、どこか人を喰った、それでいてナイーブな物語をつくりだす人である。
さて本書だが、いかにも人を喰ったような「死神」が人間たちと織りなす6つの連作短編コレクションで、「パズラー」風あり、「恋愛小説」風あり、「ロードノベル」風ありと相変わらずの「伊坂ワールド」を堪能した。
ちなみに本書収録の最初の1編『死神の精度』は昨年度「第57回日本推理作家協会賞短編部門」を受賞している。