今日読み終えた本

サウダージ

サウダージ

垣根涼介との出会いは’00年「第17回サントリーミステリー大賞・読者賞」をダブル受賞したデビュー作『午前三時のルースター』だった。
その時は一定のレベルを超えたミステリーの秀作だな、くらいの感想だったが、
昨年’04年版「このミステリーがすごい!」国内編第10位にランクインした著者3作目、『ワイルド・ソウル』を読んでぶっ飛んだ。それほどすごい作品だった。そして『ワイルド・ソウル』は昨年の「第6回大薮春彦賞」、「第25回吉川英治文学新人賞」、「第57回日本推理作家協会賞・長編部門賞」と史上初の三冠に輝いた。
『ワイルド・ソウル』の感動よ、もう一度と期待を込めて本書を読んだ。
本書は「闇の裏金」を奪取することを裏稼業にする3人組のうちの新入りの若者と、かつてそのメンバーになり損ねた男の物語で、さすがに題材のスケールという点では『ワイルド・ソウル』には及ばないものの、若者たちの今の世の中に対する居場所探しというか、苛立ちというか、また恋愛のほろ苦さなんかが、持ち味の疾走感あふれるストーリーテリングで充分に描かれていた。