今日読み終えた本

九月が永遠に続けば

九月が永遠に続けば

’04年「第5回ホラーサスペンス大賞」大賞受賞作。「ホラ・サス大賞」はまだ設立が新しい賞だが、’02年には今回の直木賞作家・朱川湊人も受賞にはいたらないものの候補作にノミネートされていた。歴代の大賞受賞作(『そして粛清の扉を』、『リカ』、『人形(ギニョル)』、『裂けた瞳』)がセンセーショナルなものやグロテスクなものが目立ったなかで本書はひとりの高校生の失踪という事件を軸に、その母親の目を通した一人称の静かな心理描写の作品になっている。
そこである女性がすべての事件の中心的な存在として浮かび上がる。彼女自身、痛ましい過去の事件の被害者なのだが、実は周りの人たちの心を知らず知らずに壊してゆく・・・。
読み終わってしまってからが、なんかゾッ〜とする物語である。