今日読み終えた本

時には懺悔を (角川文庫)

時には懺悔を (角川文庫)

ハルビン・カフェ』の打海文三のデビュー2作目の作品である。
主人公の私立探偵佐竹の、かつての同僚の殺害から幕が上がる物語は、生まれながらにして障害を持った9歳の障害児を中心に展開してゆく。
著者は、ともすれば障害児をめぐるありがちなヒューマン・ドキュメントに堕しかねない命題を、ハードボイルド「私立探偵小説」という形をとり、スリリングな「読物」として提示している。
主人公佐竹が、世を拗ねたようでいて、それでいて妙に仕事に忠実・淡々として真面目に、かつ乾いて描かれているところが良かった。