今日読み終えた本

明日の記憶

明日の記憶

「第2回本屋大賞」で302点を獲得して、大賞の『夜のピクニック』(374点)に次いで2位になった作品。
また「第18回山本周五郎賞」受賞作でもある。
大賞の作品は話題になり、私もすぐ人から借りて6月に読んだが、2位というのはなかなか辛い立場である。しかしやはり人気があり、ようやく図書館で借りることが出来た。
「若年性アルツハイマー」がテーマの物語。
50歳の主人公佐伯の視点での一人称で語られ、本人の煩悶や、家族など周りの介護者の苦悩といった心理描写はあまり中心におかれず、本人の自覚が無いまま静かに淡々と、しかし着実に病気が進行してゆく様子が切々と綴られてゆく。
それが、かえってなんとも言えず切なくて、「自分の頭の中身をほじくり返すようにして書いた」という著者の筆力に感動を覚える。