今日読み終えた本

フォックス・ストーン

フォックス・ストーン

笹本稜平は’01年『時の渚』で「第18回サントリーミステリー大賞」の大賞と読者賞をダブル受賞してデビューした。
『時の渚』は孤独な探偵の「人捜しもの」でどちらかというと地味な作品だったが、受賞後第一作の本書からは、一転して、『天空への回廊』、『グリズリー』、『太平洋の薔薇』、そして最新作の『極点飛行』まで、そのままハリウッド映画になるような、世界を舞台にしたグローバルな規模の、ダイナミックでスケールの大きい「国際謀略サスペンス」、「山岳・海洋・国際冒険小説」の目白押しで、彼はこの分野の代表的作家となった。
「サン・ミス大賞」出身者としては『ワイルド・ソウル』でブレイクした垣根涼介と共に今、最も活躍している作家である。
さて本書だが、かつて傭兵仲間だった親友のジャズピアニストが怪死した。その謎を追ううちに、男はアフリカ某国の内戦に乗じたとてつもない陰謀に巻き込まれる…。日本、米国、アフリカを舞台に展開する本格国際謀略ミステリーである。大人の鑑賞に充分応えうる重厚な作品に仕上がっている。