今日読み終えた本

医者にウツは治せない (光文社新書)

医者にウツは治せない (光文社新書)

ショッキングなタイトルである。本書は単なる「うつ」の啓蒙書や入門書の類ではない。「うつ病とは」とか「うつはココロの風邪」、「うつセルフチェック」、「精神科を受診しよう」、「うつ治療は薬物療法と休養」などということは書かれていない。むしろ現在の薬物療法中心の治療方法に疑問を投げかけている。そういう意味で本書はうつ初心者向けではないともいえよう。
以下、自分ではうまく言い表せないので、今日はズルをして本書を読んだ方のレビューを引用させていただく。
『ウツを治すのは自己の中のウツを認めること。 2005/08/23
レビュアー: ビブリオン   東京都練馬区
ウツの本はウツ病に負けず流行している。が本書は次の点で際だっている
・著者は、平成10年末から、4ヶ月の入院治療を受けた経験がある。その経験から安易な投薬療法(ウツの原因は心因性である。薬では、その心の原因は解決されず、完治はないと著者は考える)精神科医とベットの不足などが患者の視点で指摘されている。
・著者は一流のスポーツルポライターである。投薬療法に代わる内観法や催眠療法などが、患者と治療者(看護婦・精神科医心理療法士)とのインタビュー取材に基づき診療現場からの報告という形で述べられている。追記には取材後の患者の現状も述べられており、臨場感がある。
・著者は、現在鬱病から立ち直った。「私という全体性の中のウツという一つの要素がかって私の中で猛威を振るっていた。」この悟りまで著者は、どうやって到達できたか。
 ウツの原因を求めて、筆者が遍歴した心と感情に関する様々な考えが吟味されている。それらに共通したウツ克服のレシピ。己の自然の感情を抑圧しないこと。その一部の感情に支配されないために、全体の自分の中の一部としてそれをコントロールすること。 この目標に近づく方法として最後に筆者が今行っている、呼吸法とジョギング瞑想について、述べられている。私は、この本で鬱病の内包をかなり理解できたと思う。ウツの人との接触に際して心すべきことが見えてきたことに感謝したい。』