今日読み終えた本
- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/03/20
- メディア: 文庫
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私自身も兼務ながら似たような「クレーム承り」の仕事の経験があるので、身につまされながら読んでいったが、物語は単なる宮仕えの悲哀を描いたサラリーマンストーリーではない。
社内の出来事と並行して描かれる涼平と半年前に出て行ってしまった恋人との関係。彼の周りの「それでも懸命に生きる」意外に魅力的な登場人物たち。涼平の「神様」は「お客様」だけではなかったのである。「神様」はハードに生きる私たちを必ずどこかで見ていてくれる。そんな希望を抱かせてくれる、それでいてなんとなく切なくほろ苦い作品だった。
著者荻原浩は、この日記で8月21日に書いた「第2回本屋大賞」2位の『明日の記憶』の著者でもあるが、そんな切なさやほろ苦さは『明日の記憶』の読後感と通底するような気がした。