今日読み終えた本

県庁の星

県庁の星

毎週ネット上で発表される、三省堂書店の「週間ベストセラー・一般書50」の中間あたりに、発売以来ず〜っとランクインしている本である。来年2月に、織田裕二柴咲コウ主演で映画化もされるそうだ。
野村聡。31歳。Y県職員一種試験に合格。入庁9年目。Y県県庁産業局産業振興課主任。県庁初の一年間民間人事交流研修対象者6名の一人に選ばれた期待のホープだ。命じられた赴任先民間企業は…県内地方都市のスーパー?えらくマイナーな感じがした。だがそのイヤな予感は現実のものとなる。 
そこで彼は‘県庁さん’と呼ばれ、「民間」と「役人」とのギャップに浮きまくり。「書類」「数字」がすべて、と認識していた彼だが、ベテランパートの二宮泰子をはじめ、店員たちと“衝突”、そして“指導”され、いつしか「人間」を意識するようになる。そして次第に自分の「居場所」を見つけ、不振のスーパーを立て直してゆく。本の帯にあるように、まさに“役人意識構造改革ストーリー”である。
私は読む前にいろんな書評・レビューを見て、もっと軽い内容の本かと思っていたが、意外にシリアスで真面目かつ現実的な物語だった。
‘県庁さん’こと野村の視点と、パートの二宮の視点が交互に交錯してストーリーが進んでゆくが、
特に私には、スーパーを実質的に仕切っていて‘裏店長’とさえ言われる二宮の「公」のシーン---野村とのやりとりや職場内でのさまざまな苦労---と、「私」生活のシーン---息子・学や別れた夫との関わり、俳句の会での出来事---のなかで語る彼女の言葉の一つ一つが味わい深く、印象に残った。野村よりも、むしろ彼女のほうが主役のような気さえした。
彼女の存在が、本書を単なるコメディータッチの軽い役人エンターテインメントで終わらせず、これほど売れている理由と言っても過言ではないだろう。


ちなみに今日で、1月25日に立ち上げてからこの日記をつけた日数が150日となった。