今日読み終えた本
- 作者: 生田哲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: 新書
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ちょっと前までは、「うつ」発症に至る脳内メカニズムの解説から始まって、「うつになったら、薬を服用して休養することが一番」「ゆったりのんびり、いい加減にすごそう」といったような、「うつ初心者」に対する定番の啓蒙書的なものがほとんどであったが、最近は、それぞれの著者たちが、それぞれ独自の経験・研究や見識から「うつ」を論ずる傾向にあるように思う。
本書はドラスティックにSSRIを否定した、少なくとも私は今までに見たことのない「うつ」の本である。
今、「うつ」「うつ状態」や他の精神的・身体的疾患でパキシル、デプロメールといったSSRIを処方され、服用している人は本書を読んだら、すぐにでも服用をやめたくなるだろう。
著者は「うつ」はほんらい“病気”ではないのに、二週間以上悪い気分が続くと“病気”とデッチあげられ、たいていの場合SSRIが処方される現代医療のあり方こそ問題だと断じている。なるほど「うつ“病”」という言葉は本文中ほとんど使われていない。
そこで著者は本文・全6章のうち、実に4章にわたって本書の主旨、SSRIがいかに「恐怖のドラッグ」であるかについて述べている。
SSRIが「うつ」「うつ状態」の改善にほとんど効果がないばかりか、その副(主?)作用の重篤な危険性や、やめる時の離脱症状のつらさについて、科学的・医学的な根拠と豊富な実例を挙げて警告を発しているのである。
そして、第5、第6章で“恐怖の薬”SSRIを服用せずに「うつ」「うつ状態」を克服し、予防する方法を述べている。
私は著者の論ずるところに100%賛成はできないが、最近、SSRIは日本人の「うつ」には効果がない、と何かで見た覚えがあるし、宣伝されているほどの“副作用の少ない特効薬”ならば、もっと「うつ」の人が寛解してもよさそうなものなのに、「うつ」は増殖する一方である。私は人それぞれ顔かたちや体型、性格、環境が違うように、「うつ」への対処法もSSRIだけでなく100人いれば100通りあってしかるべきだと思う。