今日読み終えた本

羞恥心はどこへ消えた? (光文社新書)

羞恥心はどこへ消えた? (光文社新書)

最近日常的によく目にする、主に若者たちの「ジベタリアン」、「車内飲食」、「車内化粧」、「人前でのキス」。本書はこれらの行動が恥ずかしくないのか? から始まって、日本人の「恥」について著者の専門である社会心理学的アプローチで考察したものである。
著者本人も言っているが、社会心理学は日常的な学問で、日々の様々な現象にこだわるところから始まるそうだ。
「これらがなぜ、恥ずかしいのか?または恥ずかしくないのか?」から始まって、延々と著者本人の考察・研究の成果による意見や、これまでの他者(心理学者など)の実験結果などが述べられ、どうやら「羞恥心は社会から個人が排除されないようにするための仕組みである。何を恥ずかしいと感じるかは個人がどのような集団に留まりたいのかによって大きく変わってくる。」という結論らしいものに至る。
では、冒頭の若者たちの行動はどうか?というといまひとつ論点がはっきりしない。つまり、本書のタイトルの「どこかへ消えた」羞恥心はどうなったのか。帯の文句にある変わり始めた《恥の基準》とは?
私は最後まで読んでもタイトルと帯の文句にこめられた著者の意図がどうもよく分からなかった。
ただ、一見興味は引く(だから私も読んだわけだが)ものの、こんなどうでもよい(と私には思える)テーマで本を一冊書いてしまう著者の力量には、皮肉でなく感服した。