今日読み終えた本
- 作者: ジェフリー・ディーヴァー,土屋晃
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/09/02
- メディア: 文庫
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「このミステリーがすごい!」’05年海外編と「週刊文春ミステリーベスト10」’05年海外部門で共に第5位にランクインした作品である。
1936年の7月、ニューヨークの殺し屋ポール・シューマンは米国海軍情報部に捕まり、ドイツのナチス高官の暗殺を命じられる。彼はオリンピックを取材するスポーツ・ジャーナリストの肩書きでベルリンへ潜入するが、現地工作員と落ち合う際に殺人に巻き込まれ、警察に追われる身となる。果たして彼は目的を遂げ、無事に国外脱出することができるのか。
物語はシューマンを中心に、ドイツ刑事警察の警視、ベルリンのギャングなど魅力あふれる登場人物たちのおよそ3日間の行動を描いている。
シューマンは2度にわたって暗殺の機会を得るのだが、彼は標的である高官がナチスドイツの軍事力増強のために恐るべきプラン<ヴァルタム研究>を画策していたことを知る。
登場人物たちの巧みな人物造形、手に汗握るスリルとサスペンスの連続、そしてセンチメンタリズム漂う予想外の結末と、著者ディーヴァーの紡ぎだすストーリー展開に文庫657ページの長編があっという間だった。
また、1936年当時のドイツとアメリカとの外交関係や、オリンピック開催を目前に控えたナチス統治下のベルリンの街角・人々の様子などが、ヒトラー、ゲーリング、ヒムラーなど実在の人物も登場して、史実を元に正確に、生き生きと描かれており、とても臨場感があり、印象深かった。